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静寂の中のノイズと向き合う

今日は朝5時半に目が覚めた。外はまだ薄暗く、静寂が部屋を包んでいる。最近、早朝に目が覚めることが増えたが、それを悪いこととは思っていない。むしろ、この誰にも邪魔されない時間に、ゆっくりと体と心を整える習慣ができつつある。
ただ、今日の朝は少し違っていた。目覚めと同時に、右耳に「キーン」という高い音が響いていた。あの、耳鳴りだ。コロナ療養中にも何度か感じたが、最近は頻度が減っていたので油断していた。しばらく横になったまま耳に意識を集中してみる。音は消えず、ただ存在を主張するようにそこにある。静寂の中のノイズ。なかなかに気になる。
ネットで調べると、50代に多い「加齢性の耳鳴り」、あるいは「ストレス性」とも出てくる。コロナの後遺症ともいわれるし、疲労や睡眠不足、内耳の炎症、さらには自律神経の乱れなど、原因はさまざまだ。いずれにせよ、これもまた「体からのメッセージ」だと受け止めるしかない。
朝食は、耳鳴りに良いとされる「ビタミンB群」を意識して、しらす入りの卵焼き、小松菜と舞茸の味噌汁、そして納豆ごはんにした。コーヒーはカフェインが耳鳴りを悪化させることもあると聞き、今日は温かい麦茶に切り替えた。朝から自分にできることを一つひとつ試す。こういう地味な積み重ねが、今の自分には合っている気がする。
仕事は今日、午前・午後にオンライン会議が2件。資料作成や見積もり対応もあり、リモートとはいえまあまあのボリュームだ。ただ、耳鳴りのせいで、集中が切れやすい。相手の声がこもって聞こえる瞬間もあり、聞き返すのをためらってしまう場面もあった。
思えば、コロナにかかる前はこうした「聞き取りにくさ」や「集中力の持続しなさ」に気づく余裕すらなかった。今は自分の感覚に敏感になっている分、少しの違和感にもすぐ気づく。これは“後遺症”というより“気づきの副産物”かもしれない。
昼食はシンプルに、ささみの梅しそ和えとブロッコリー、玄米のおにぎりを用意。タンパク質と野菜中心の食事も、少しずつ習慣になってきた。外食やテイクアウトに頼っていた頃と比べると、明らかに胃の調子も良い。午後の眠気も減った。
ただ、午後の会議の最中にも、耳鳴りが再び強くなってきた。どうやら「集中状態」や「緊張」が引き金になっているらしい。会議後はPCを閉じて、10分ほど目を閉じて深呼吸。呼吸を整え、耳を労わる時間。これだけでも、少し音が和らいだ気がした。
夕方、軽くストレッチをしてから、近所の公園へ散歩に出かけた。耳鳴りがあると、静かな場所がかえってつらくなることもある。だからこそ、風の音や子どもの笑い声、鳥の鳴き声が混じり合う“自然のざわめき”が心地いい。自然音は、耳鳴りのストレスを和らげてくれるという話もある。確かに、五感を外に向けることで、自分の内側のノイズが少しだけ薄まっていくような感覚があった。
帰宅後の夕飯は、厚揚げと野菜の煮物、ひじきのサラダ、雑穀米。食後は湯船にゆっくり浸かって、全身を温めた。血行を促すことも、耳鳴り対策になるという。半信半疑だが、自分の体に「大丈夫だよ」と言ってあげるような気持ちで湯に浸かる。
体重は64.9kg。ほんの少しだけど、減っていた。でも今日は、そんな数字よりも「耳鳴りとうまく付き合えたかどうか」のほうが大事な指標だった気がする。
仕事をしながら不調を抱えるというのは、なかなかに厄介だ。誰にも言わずにやり過ごすこともできるが、それがかえってストレスになる。少しずつ、自分の中で「無理をしない勇気」と「不調に気づく力」を育てていくことが、これからの働き方には必要なのかもしれない。
明日は少し仕事をセーブして、自分のメンテナンスに時間を使ってみようと思う。人生後半の働き方と健康との付き合い方。そのヒントを、少しずつ手探りで見つけていきたい