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痛みが教えてくれる“サイン”に耳を傾ける

朝、目が覚めると、まず感じたのは首から肩にかけての重だるさだった。まるで鉄板でも乗っているかのような圧迫感。ここ数日、PC作業が多く、ストレッチも軽めにしかやっていなかったツケが一気に来たのかもしれない。加えて、寝ている間の姿勢も悪かったのか、首筋に軽い違和感。ぎっくり首、なんて言葉があるのか知らないが、変な動きをしたら危なそうな、そんな緊張感を覚える朝だった。
歳を重ねると、ちょっとした姿勢の崩れがすぐに「痛み」となって表れる。20代の頃なら一晩寝たら治っていたような疲労も、今では確実に蓄積し、こうして不調として顔を出す。首と肩の痛みというのは、仕事にも生活にも直結する厄介な問題だ。特に僕のように一日中パソコンに向かう仕事をしている者にとって、それはもはや職業病に近い。
朝食は、今日も体に優しい和食を選んだ。具沢山の味噌汁、焼きサバ、豆腐のおかかのせ、そして少量の玄米ご飯。食後には、ビタミンB群を補うためにバナナとナッツも加えた。少しでも筋肉と神経の回復に役立てばという願いも込めて。やはり食事は、自分への投資でもあると最近は感じている。
朝のルーティンであるストレッチは、今日は内容を少し変えてみた。首まわり、肩甲骨、僧帽筋を意識して、ゆっくりとした呼吸に合わせて動かす。無理に伸ばすのではなく、「動かしてほしい」と体が訴えている方向に耳を傾けながら、丁寧に向き合うようにした。これまで“トレーニング”というと「追い込む」イメージが強かったけれど、今は“調律する”ような気持ちで取り組んでいる。
とはいえ、仕事に入ると、どうしても姿勢が固まりがちになる。今日も午前中は資料作成や報告書のチェックで、長時間モニターに張り付いてしまった。気づけば首をすくめ、肩をぐっとすぼめるような体勢で、まさに「痛みを育てている」ような姿勢だった。
耳鳴りこそ今日はほとんど感じなかったが、肩こりと首の張りは次第に強まっていった。午後のオンライン会議では、姿勢を正そうと背筋を伸ばしてみたが、それも長くは続かない。姿勢を意識すればするほど、どこか他の部分に力が入ってしまい、かえって疲れてしまう。まるで「姿勢を保つ筋肉」そのものが衰えているような感じだ。
そこで、15時過ぎに仕事の手を止め、思い切ってヨガマットを敷いてセルフマッサージとリリースを試みた。それ専用のゴムボールを使って、背中や肩甲骨周りをぐりぐりと押し流す。痛気持ちいい感覚。ゴリゴリと音がしそうな凝りが、自分の中に確かにある。数分続けていると、ほんの少し、血流が戻ってくるような感覚があった。日常の中で「自分の体に触れる」という行為が、こんなにも大事だったとは、正直知らなかった。
夕方には、少し早めに仕事を切り上げ、いつもの散歩コースを短めに歩いた。歩くことで全身の血流が促され、首や肩への負担も軽減される気がする。途中、ベンチで休みながら、日が傾いていく空をぼんやり眺めていた。こうして「何もしない時間」に身を置くことが、今の自分にはとても大事だと感じる。
夜は、蒸し鶏とキャベツの塩昆布和え、にんじんのラペ、味噌汁、五穀米と、胃にも体にも優しいメニューにした。これにクルミと黒酢のドリンクをプラス。なんとなく「筋肉と神経の修復セット」みたいな意識で食事を整えるのが、最近のちょっとした楽しみでもある。
体重は64.8kg。大きくは変わらないが、毎日決まった時間に測ることで、生活のリズムが整っていることを確認できる。数字が目的ではなく、あくまで道しるべとして捉える。そう思えるようになったのは、ここ数日の変化かもしれない。
痛みは、身体からのサインだ。無視せず、恐れず、ただ正面から受け止める。そうすれば、そのサインは“敵”ではなく“案内人”になる。僕の首や肩の痛みも、きっと「もっと自分を大事にしてほしい」と伝えてくれているのだと思う。